「東ロボくん」プロジェクトはなぜ終了したのか

 

果たして、ロボットは東大に入れるのか。人工知能が東大生にふさわしい知能を備えることができるのか。東大合格をめざして開発された人工知能が「東ロボくん」だったのだが……。

受験生の上位20%に入った

「東ロボくん」のプロジェクトは、国立情報学研究所の新井紀子教授を中心に2011年から始まった。
ターゲットは大学入試センター試験だった。
過去の問題を学習していき、どこまで人工知能が受験生の中でトップレベルになれるのかに挑む試みでもあった。
2014年には、全国センター模試で全国の私大の80%以上に合格可能というA判定を獲得した。




こうした成果が出て、さらに人工知能は学習能力を高めていった。
しかし、その後のプロジェクトは壁に突き当たった。
最終的に「東ロボくん」は、約50万人という受験生の上位20%に入ったのだが、その先が難しくなった。
現在の理論や統計を活用しているだけでは、東大に合格できる可能性がないことが明らかになってしまった。(ページ2に続く)



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人工知能に関する用語

〔IoT〕
Internet of Things(モノのインターネット)の略です。モノがインターネットに接続されることで、操作や制御を行なえる仕組みのこと。

〔アルゴリズム〕
問題を解決するための計算方法や手順のこと。

〔音声認識〕
人間が話している声をコンピュータに認識させて文字に変換する技術のことです。

〔画像認識〕
画像・動画から対象(文字や顔など)の特徴を認識して検出する技術のことです。

〔機械学習〕
膨大なデータをコンピュータに繰り返し学習させて特徴を見つけ出すことです。

〔自然言語処理〕
コンピュータに人間が使用している言葉を理解させる技術のことです。

〔シンギュラリティ〕
技術的特異点とも言われます。人工知能が人間の知能を上回る転換点のことです。未来学者のレイ・カーツワイル氏は、シンギュラリティが2045年に訪れると予測しています。

〔チャットボット〕
人工知能を生かした自動会話のプログラムのことです。

〔ディープラーニング〕
深層学習とも言います。機械学習の1つで、人間が指示を出さなくても人工知能が学習データの中で自ら特徴を見つけ出すことです。

〔ニューラルネットワーク〕
電気回路のような脳の仕組みをコンピュータで再現するネットワークのことです。

〔パターン認識〕
対象物のパターンを分析することによって、その意味を抽出することです。

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