世紀の大発見
トロント大学の勝因の元になったのが、新しい機械学習の方法として登場してきた「ディープラーニング」だった。
ディープラーニングの特徴は、人間が行なっていた特徴量の設計を、膨大なデータをもとにコンピュータが自ら行なうというところだった。つまり、コンピュータが自ら特徴量を見つけ出し、画像の認識に生かしていたのである。
人間の指示に従うことによって結果を出していたコンピュータが、今度は人間の指示に頼らずに自ら答えを見つけていくプロセスを獲得したと言える。
しかも、それによってトロント大学は、他の研究機関を圧倒するような成果を見せたのである。ディープラーニングは「世紀の大発見」と言っても過言ではなかった。
こうしたディープラーニングの登場によって、世界中の人工知能を研究する人たちが活気づいたのは間違いない。
まさに2012年から、人工知能は、はかりしれない可能性に向かって疾走し始めたのである。