囲碁とチェスの世界では、人間が人工知能にかなわなくなっている。その中でも、最強のレベルに達しているのがディープマインド社が開発した「アルファゼロ」である。
自己対戦の繰り返しで強くなる
2017年の年頭。謎の棋士が話題になった。
「マスター」などのアカウント名で登場し、ネット対局サイトで中国や日本のトップ棋士を次々に破って60戦全勝を記録した。
果たして、圧倒的な強さを誇った棋士は誰なのか。
謎めいた登場に世界の碁界が驚く中で、ついに正体が明かされた。
グーグルが傘下におさめているイギリスのディープマインド社が開発した人工知能なのである。
ディープマインド社と言えば、2016年3月に韓国のイ・セドルを圧倒した「アルファ碁」の開発で有名だが、さらに改良された人工知能が「60戦全勝」の正体だった。
進化は止まらない。ディープマインド社は、人間がつくり出した棋譜をアテにせず、自己対戦の繰り返しで強くなる「アルファ碁ゼロ」を開発した。
この「アルファ碁ゼロ」は、初代の「アルファ碁」に100戦全勝し、「マスター」にも89勝11敗だった。
一体、どこまで強くなるのか。
さらに、ディープマインド社のチャレンジは続いた。(ページ2に続く)